📚 高卒公務員ガイド

高卒で地方公務員になるには?
試験内容・給与・キャリアを親目線で解説

「大学に行かせるべきか、高卒で公務員を目指させるか」——進路に悩む保護者に向けて、制度・待遇・現実を正直にまとめました。

  • 高卒程度試験の仕組み・受験資格(年齢要件)を解説
  • 初任給・ボーナス・生涯賃金のリアルな数字
  • 昇進の壁・転職の難しさなどデメリットも正直に
  • 試験の易化トレンドと今がチャンスの理由

お子さんの将来を考えたとき、高校卒業後に地方公務員になるという選択肢は、18歳から安定した収入と身分保障を手に入れられる非常に堅実なルートです。しかし一方で、大卒者に比べた昇進の壁や、いざ辞めたいと思ったときの転職の難しさなど、あらかじめ知っておくべき現実もあります。

この記事では、「大学に進学させるべきか、公務員を目指させるべきか」と悩む保護者の方に向けて、制度の仕組みから試験スケジュール、給与、そして将来のキャリアまで、判断の材料となる情報を網羅的かつ正直に解説します。

1. 高卒程度の地方公務員試験とは?基本の仕組み

「高卒程度」は学歴要件ではなく年齢要件

地方公務員の「高卒程度」試験は、自治体によって「初級」「III類」「III種」など呼び名は異なりますが、すべて同じ高卒レベルの試験区分を指します。

一番気をつけたいのは、受験資格は「学歴」ではなく「年齢」で決まるという点です。一般的には受験する年の4月1日時点で「17歳〜21歳」であれば誰でも受験可能です。
また近年の人手不足の影響から、年齢の上限を「24歳〜25歳」まで引き上げ、より多くの人が受けられるようにしている自治体も増えています。
ただし、すでに大学に在学中だったり、大学を卒業している人は、年齢を満たしていても高卒区分を受験できないという「除外規定」を設けている自治体も多いです。

💡 募集要項は必ず確認を

各自治体の募集要項は、毎年6月頃に公開されます。年齢要件や大学在学者の除外規定などのルールは自治体ごとに異なるため、志望先の最新の要項を必ず確認してください。

大卒区分との最大の違い——専門試験がない

大卒レベルの公務員試験では、憲法・民法・行政法・経済学といった大学の授業で習うような「専門試験」が課されます。しかし、高卒区分にはこの専門試験がありません。

試験は、主に高校までに習った基礎学力を問う「教養試験」のみで行われます。つまり、大学で難しい法律や経済学を専門的に学んでいなくても、十分に合格を目指せるのが大きな強みです。
ただし、専門試験がないからといって「簡単に受かる」わけではありません。教養試験には独特の難しさがあり、しっかりとした対策が必要です。詳しい内容は後の「試験科目」の章で解説します。

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2. 試験のスケジュールと併願戦略

高卒公務員試験を目指す場合、まずは1年間のスケジュールを把握しておきましょう。

時期内容
6月下旬〜7月上旬募集要項の公開(自治体のHPなどで発表されます)
7月中旬〜8月上旬受験申込受付(ネット申請が主流。期間は2〜3週間と短いので注意)
9月下旬一次試験(9月の第4日曜日に全国一斉で実施されます)
10月上旬〜中旬一次合格発表
10月中旬〜11月上旬二次試験(個別面接が中心。警察や消防などの公安職は体力検査もあります)
11月中旬〜12月上旬最終合格・内定
📝 運営者(青島)より

保護者の方にお伝えしたいのですが、受験申込の期間は2〜3週間と短く、ちょうど夏休みに重なります。お子さんが申込みを忘れないよう、6月の募集要項公開のタイミングで一緒にスケジュールを確認してあげてください。これだけで防げるミスがあります。

地方公務員の一次試験は、原則として9月の第4日曜日に全国一斉に行われます。そのため、同じ日に試験がある自治体同士を両方受ける(併願する)ことはできません。第一志望を早めに絞り込んでおく必要があります。

一方で、スケジュールが異なる試験は併願が可能です。例えば、国家公務員の一般職(高卒者試験)は9月上旬に行われるため、地方公務員と約3週間のズレがあり、両方受けることができます。また、警察官や消防官も別日程に設定されていることが多く、有力な併願候補になります。

💡 併願戦略のポイント

市役所や町村の採用は、退職者が出なかった年などは「募集ゼロ」の場合があります。都道府県庁や国家公務員、警察・消防などとの併願をあらかじめ組んでおくことがとても重要です。

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3. 試験科目と合格に必要な勉強法

教養試験の構成——「数的処理」が合否を分ける

一次試験のメインとなる教養試験は、40〜50問のマークシート(五肢択一式)形式で、解答時間は120分程度です。試験の内容は大きく「一般知能分野」と「一般知識分野」の2つに分かれます。

一般知能分野は出題全体の約半分を占めます。内容は、現代文や英文を読み解く「文章理解」と、論理パズルのような問題を解く「数的処理(数的推理・判断推理・資料解釈・空間把握)」です。
この中でも、「数的処理」は高校の数学の授業では習わない独特な問題ばかりが出題されるため、合否を分ける最重要科目と言っても過言ではありません。ここで点を取れるかどうかが合格へのカギです。

一般知識分野は、社会・政治・歴史・地理・理科・数学など、高校までに習う幅広い範囲から出ます。ただし、これらすべての科目を完璧に勉強するのは非現実的です。出題されやすい科目に絞り、あまり出ない科目は思い切って捨てる(勉強しない)という戦略的な「捨て科目選び」が求められます。

作文試験と面接試験

一次試験または二次試験では、教養試験のほかに作文や面接が行われます。
作文試験は「600〜800文字」程度を「50〜60分」で書き上げる形式が一般的です。テーマは「高校生活で最も努力したこと」や「地域社会の課題と公務員の役割」など、オーソドックスなものがよく出題されます。

そして近年、合否を大きく左右するのが面接試験です。昔のように「筆記試験の点数が良ければ受かる」時代ではなくなり、人物評価(面接)の比重がますます高まっています。筆記試験で高い点数を取っていても、面接でのアピールが不十分であれば容赦無く不合格になるケースが増えています。

⚠️ 高校の「調査書(内申書)」はどう影響する?

一次試験の点数に高校の成績(内申点)が加点されることは原則ありません。しかし、面接試験では高校から提出された「調査書」が参考にされます。
特に「出席状況」は非常に重視され、理由のない欠席・遅刻が多いと面接で厳しく追及される可能性があります。逆に、成績がいまひとつでも3年間「皆勤」であれば、「真面目に取り組む姿勢」として面接で大きなプラス評価になります。

いつから勉強を始めるべきか

試験勉強を本格的にスタートする理想の時期は、高校2年生の秋〜冬です。部活動と両立しながら少しずつ進めるのであれば、最低でも1年〜1年半は準備期間を見ておきたいところです。とくに「数的処理」に苦手意識があるお子さんの場合は、高1のうちから専用のテキストを用意して触れ始めておくのも非常に有効です。

また、「独学でいくか、予備校に通うか」も悩むポイントです。独学は教材費の数万円だけで済みますが、膨大な範囲から何を捨てて何を優先するかを自分で判断したり、面接の練習を一人で行ったりするのは至難の業です。
一方、公務員予備校の高校生向け講座は「15万円前後」が相場です。大学受験の予備校(50〜100万円)と比べれば安く、プロによる出題傾向の分析や面接指導が受けられるため、確実性を高める近道だと言えます。

4. 高卒公務員の給与・ボーナス・生涯賃金

保護者として最も気になるポイントの一つが「給与」だと思います。まずは初任給の相場を見てみましょう(2024〜2025年の人事院勧告によるベースアップを反映した目安です)。

💰 高卒公務員の初任給一覧を見る

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勤務先初任給の目安(高卒程度)
都道府県庁・政令指定都市約16.0万〜16.8万円
一般市役所約15.5万〜16.5万円
町村役場約15.0万〜16.0万円

参考までに、大卒程度の初任給は約19.5万〜20.5万円です。これを見ると「高卒は給料が安い」と感じるかもしれません。しかし、公務員の給与システムには強力な「年功序列型の昇給」が用意されています。
毎年1月に自動的に「4号給」ずつ基本給が上がり、着実に収入が増えていきます。そのため、22歳になった時点での「勤続4年目の高卒職員」の基本給は、同じ年に新しく入ってきた「大卒の新入職員」の基本給とほぼ同じ水準に追いつきます。

さらに、初年度の冬から「期末手当・勤勉手当(ボーナス)」が支給されます。年間で「給料月額の約4.5ヶ月分」というまとまった金額が手に入ります。また、都市部で働く場合は「地域手当」が最大20%加算されるため、同じ基本給でも実質的な手取り額は大きくなります。

💡 トータルでの「安定感」は抜群

初任給だけで判断しないことが重要です。毎年の確実な昇給、年間約4.5ヶ月分のボーナス、そして退職金まで含めたトータルで見ると、生涯を通じた経済的な安定感は非常に高い水準にあります。

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5. 高卒公務員のキャリアパス——どこまで昇進できるのか

係長・課長補佐には十分到達できる

高卒で入庁した場合でも、真面目に勤務し、役所内の昇任試験に合格すれば、「係長」や「課長補佐」のクラスまでは、ほぼ全員が定年までに到達可能です。このクラスになると、年収も700〜800万円に達します。
また、入庁して5年も10年も経てば、職場で学歴が話題になることはほぼなくなり、純粋な「実務能力」で評価されるようになります。

課長・部長への昇進は自治体の規模による

では、さらに上の「課長」や「部長」といった幹部ポストには就けるのでしょうか。これは自治体の規模によって傾向が分かれます。

小規模な市町村では、高卒職員が課長や部長に昇格するケースは珍しくありません。しかし、大規模な都道府県庁や政令指定都市の場合、幹部ポストは大卒者が多くを占める傾向があります。とくに、新しい政策を立案したり、国と折衝したりするポジションには、大卒者が配置されやすい構造があります。ただ、「高卒だから絶対に無理」というわけではなく、仕事ぶりが極めて優秀であれば道は開かれています。

🎓 働きながら大卒資格を取るという選択肢

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近年、高卒公務員の間で増えているのが、通信制大学(放送大学や私立大学の通信教育課程など)を利用して働きながら学士号(大卒資格)を取得するという戦略です。

公務員は、配属先の部署によっては定時で退庁でき、土日も確実に休めるため、社会人として学び直すのに非常に適した環境にあります。
大卒資格を取得すれば、自治体によっては給与の格付けを大卒基準に切り替えられる制度があり、昇進において見えていた壁をなくせる可能性もあります。

「18歳から給与を稼ぎながら実務経験を積み、20代前半で学士号も取得する」——このルートなら、経済的な安定とキャリアの選択肢の両方を手にできます。お子さんに「後からでも大卒になれる」と伝えることは、進路への不安を和らげるはずです。

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6. 保護者が知っておくべきデメリットと注意点

ここまでメリットをお伝えしてきましたが、保護者として「厳しい現実」もあらかじめ知っておく必要があります。ここからは、高卒公務員のデメリットや注意点を正直に解説します。

⚠️ 昇進スピードの差は現実としてある

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先ほど「幹部ポストは大卒者が多い」と述べましたが、大卒者は入庁時から「幹部候補(キャリアトラック)」として、重要な部署を転々と経験させる育成ルートに乗せられやすいのが現実です。
高卒者は、同じペースでそういった重要部署を経験させてもらいにくい自治体が多く、同期で入庁した大卒者が先に出世していくのを見る場面は出てきます。

⚠️ 公務員を辞めたあとの転職は厳しい

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行政事務の仕事は、民間企業への再就職に直結しにくいという弱点があります。
公務員の仕事では、営業力や売上を上げるマーケティング、最新のITスキルといった、民間企業が即戦力として求めるビジネススキルが身につきにくい傾向があります。
もし「20代前半・高卒・職歴は公務員のみ」というステータスで民間への転職市場に出た場合、今よりも待遇の良い企業へ移るのはかなりハードルが高いと言わざるを得ません。

⚠️ 配属先は選べない

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地方公務員(一般行政職)は、自分の希望する部署でずっと働けるわけではありません。基本的には、数年おきに「ジョブローテーション」と呼ばれる異動があり、福祉、税金、環境、防災など、まったく異なる分野の仕事を転々とすることになります。
「事務の仕事だと思って入ったのに、生活保護のケースワーカーに配属された」といったことは珍しくなく、希望と違う仕事でも柔軟に適応する力が求められます。

⚠️ 親が薦めても、最後は本人の意思が問われる

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保護者の方が公務員の安定性に魅力を感じ、情報を集めてお子さんに勧めること自体は素晴らしいサポートです。
しかし、最終的に「自分がこの自治体でどうしても働きたい」という強い意思が本人になければ、面接官にはすぐに見抜かれます。「親に言われたから」「安定しているから」というだけでは、志望動機として弱すぎて二次試験を突破できません。

保護者の役割は「こういう選択肢もあるよ」と情報を提示し、本人が自分で決断するのをサポートすることに徹するのがよいでしょう。

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7. 最近のトレンド——試験の易化と人材不足

📊 試験のハードルが下がっている背景と具体例

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現在、全国の多くの自治体が深刻な「人手不足」に悩まされています。団塊世代の大量退職に加え、少子化、そして民間企業の初任給引き上げによる公務員離れが背景にあります。
そこで、少しでも多くの受験生を集めるため、採用試験のハードルを下げる(入りやすくする)動きが加速しています。

例えば、市役所を中心に、従来の難しい教養試験を廃止し、民間企業の就活で使われるような「SPI方式(適性検査)」だけで一次試験を行う自治体が増えています。また先ほど触れたように、高卒区分の年齢上限を「24歳〜25歳」まで引き上げる動きもその一つです。

さらに、選考基準そのものも「筆記重視」から「人物重視」へと大きくシフトしています。一次の筆記試験の合格ラインを下げてより多くの人を通過させ、二次の面接でじっくり選考するスタイルが主流になってきています。

💡 試験方式の確認を

志望先の自治体が「SPI方式」を導入しているかどうかで、必要な対策(取り組むべき問題集など)が大きく変わります。募集要項で試験方式を必ず確認してください。

こうした流れの中、「大学に行けば奨学金(平均300〜400万円)の返済という借金を背負うことになるから、あえて高卒で公務員を選び、18歳から稼ぐ」という戦略的な選択をするご家庭も増えています。ただし、行政の事務職はそもそもの採用枠が少ないため、依然として競争はあります。「簡単に誰でも受かる」わけではない点は注意が必要です。

📝 運営者(青島)より

私が行政書士として補助金申請の支援をしていると、自治体の人手不足を肌で感じる場面が多いです。裏を返せば、今は高卒で公務員を目指す人にとって、ここ十数年で最もチャンスが大きい時期だと思います。

8. よくある質問

Q. 高校の成績が悪くても合格できますか?

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Q. 部活を引退してからでも間に合いますか?

+

Q. 警察官や消防官も高卒で受けられますか?

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Q. 高卒公務員は一生「高卒扱い」ですか?

+

Q. 親としてサポートできることは何ですか?

+

9. まとめ

  • 高卒程度試験は「年齢要件」で受験可能。17〜21歳が主流だが、年齢上限を引き上げる自治体も増加中
  • 9月第4日曜に一斉実施。併願戦略を組んでおくことが合格の鍵
  • 合否を分けるのは「数的処理」。高2の秋から準備を始めたい
  • 初任給は16万円前後だが、毎年の昇給・ボーナス・退職金を含めた生涯の安定感は高い
  • 係長・課長補佐には十分到達可能。通信制大学でキャリアの幅を広げる選択肢もある
  • デメリット(昇進の壁、転職ハンデ、配属先を選べない)も理解した上で、本人の意思を尊重した進路選択を

高卒で地方公務員になる道は、情報を正しく集め、早めに準備を始めれば十分に実現可能なルートです。メリットもデメリットもある中で、最も大切なのは本人が納得して選ぶことです。保護者にできるのは、選択肢と情報を整えてあげることだと思います。ぜひ、この記事を参考にお子さんとの話し合いを進めてみてください。

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職種別の面接対策

県庁に首席で入庁した実績者が、
サービスを開発しました。

サービス開発者:

青島 一平

AOSHIMA Ippei

AI公務員予備校 運営代表

県庁に首席入庁

入庁式にて、約400人の新入職員を代表して辞令を受領(以下の新聞記事参照)。
試験結果と資質を評価され、当時の中枢部署(知事直轄組織)に配属されました。

首席入庁時の新聞記事リンク ➡

経歴
1

働きながら博士号を取得(神戸大学大学院人間発達環境学研究科)

経歴
2

退職後、大手スキルシェアサイトで多くの受験生を支援

経歴
3

AIの活用で「面接対応力」を養ってほしいとの想いでサービス開発

経歴
4

県庁に首席で入庁した実績者が、
サービスを開発しました。

県庁に首席
入庁した実績者が、
サービスを開発。

サービス開発者:

青島 一平

AOSHIMA Ippei

AI公務員予備校

運営代表

県庁に首席入庁

当時の中枢部署(知事直轄組織)などで5年勤務

首席入庁時の

新聞記事

リンク ➡

経歴
1

働きながら博士号を取得
(神戸大学大学院人間発達環境学研究科)

経歴
2

退職後、大手スキルシェアサイト多くの受験生を支援

経歴
3

AIの活用で「面接対応力」を養ってほしいとの想いでサービス開発

経歴
4