高卒と大卒、どちらで公務員を目指すべき?
給与・昇進・コストを徹底比較
「大学に行ってから公務員になるべきか、高卒で直接目指すべきか」——答えは志望先の自治体の規模と家計の状況で変わります。
「高卒と大卒、どちらで公務員を目指すのが正解か」——この問いに、すべての人に当てはまる共通の答えはありません。しかし、判断に必要な条件ははっきりと整理できます。この記事では、「給与」「昇進」「進学コスト」「試験の難易度」という4つの視点で高卒と大卒を比較し、最後に「あなたにとっての最適解」を見つけるための判断手順をご紹介します。
※高卒で公務員になるための試験内容や勉強法は、別記事「高卒で地方公務員になるには?」で詳しく解説しています。
1. 結論:「どこを目指すか」と「家計の状況」で最適解が変わる
まずは結論からお伝えします。高卒か大卒かを選ぶ上で最も重要なのは、「どの規模の自治体を目指すのか」と「大学の学費を無理なく出せる家計状況か」の2点です。以下の3つのステップで確認してみましょう。
都道府県庁や政令指定都市などの大きな役所を目指す場合、昇進において大卒が有利になる仕組みがあるため「大卒」での受験をおすすめします。
地元の市役所などの小規模な自治体を志望し、かつ家計に余裕がある(または多子世帯の無償化などの対象で学費負担が軽い)場合は、無理なく「大卒」を選ぶのも良い選択肢です。
もし大学へ行くために奨学金を借りる必要があるなら、迷わず「高卒」で公務員を目指すのが経済的にお得です。
💡 この記事のポイント
この記事では、上の判断フローの理由となるデータを1つずつ解説します。最後まで読めば、自分の状況に最も合った選択が見えてくるはずです。
2. 給与・生涯賃金を比較する——年収差より「スタート時期」のインパクト
お金の面を見ると、「年収だけ比べれば大卒の方が高いけれど、生涯の合計でもらえる金額で見ると大きく変わってくる」というのが事実です。
年齢別の年収比較(地方公務員)
地方公務員の平均的な年収を、高卒と大卒で年齢別に比べてみましょう(※令和6年 地方公務員給与実態調査に基づく目安です)。
| 年齢 | 大卒(平均年収の目安) | 高卒(平均年収の目安) | 差額 |
|---|---|---|---|
| 28〜31歳 | 約404万円 | 約392万円 | 約12万円 |
| 36〜39歳 | 約494万円 | 約484万円 | 約10万円 |
| 44〜47歳 | 約604万円 | 約592万円 | 約12万円 |
| 52〜55歳 | 約669万円 | 約649万円 | 約20万円 |
| 56〜59歳 | 約695万円 | 約666万円 | 約29万円 |
表を見るとわかるように、同じ年齢でも大卒の方が少しだけ高く設定されています。しかし、その差は年間で10万〜30万円程度です。多くの人が想像するほど大きな差ではありません。
「4年早く働き始める」ことの経済的インパクト
一方で、大きく違うのは「働き始める時期」です。高卒で公務員になると、18歳から22歳までの間に給料をもらえます。この4年間でもらえる金額は、合計で約1,000万〜1,200万円にもなります。
大卒者が、年間十数万円の年収差だけでこの「1,000万円以上の差」に追いつくには、単純に計算しても30年以上かかります。さらに、勤続年数(長く働いた期間)が長いほど増える傾向にある退職金や年金のことを考えると、生涯を通して手にするお金は「高卒の方が多い」というケースも十分にあり得ます。
ただし、これはあくまで「同じような役職のまま退職した場合」のお話です。もし昇進のスピードに差がつけば、この結果は逆転します。次に、その「昇進の差」について見ていきましょう。
3. 昇進・キャリアの差——自治体の規模で景色が変わる
公務員として昇進して偉くなっていく上で「学歴が壁になるかどうか」は、どの大きさの自治体で働くかによって決まります。
県庁・政令市——大卒有利の構造がある
都道府県庁や、人口の多い政令指定都市の場合、組織の中枢(企画や財政、人事)を取り仕切る部門は大卒採用者が担うことが多いのが現実です。
高卒者の場合、課長を補佐する役職や係長クラスで昇進が止まってしまう人が多い傾向があります。大卒者は入庁直後から昇給やポストに恵まれやすく、30代の後半になると、同期であっても出世のスピードに明らかな差が出始めます。
中には「試験を受けて昇進するルート」が存在する自治体もありますが、日々の忙しい仕事と勉強を両立させるのは大変で、実際のところその試験を突破できる人はほんの一握りです。
一般市町村——学歴の壁はほぼない
一方、私たちが「地元の市役所」と呼ぶような小規模な市町村の場合、事情は全く異なります。働く職員の数が限られているため、「学歴よりも、その人の経験や現場の対応力」が何より評価される職場です。
住民と長く信頼関係を築いている人や、議会でうまく説明できる人が管理職として頼りにされます。そのため、高卒であっても課長や部長になり、さらには副市長まで上り詰めるケースも珍しくありません。
💡 ポイント
「自分が働きたい自治体は、どちらの構造に近いか」をまず知ることが、進路選びの第一歩になります。
4. 大学進学にかかるコストを冷静に計算する
「とりあえず大学へ行ってから公務員を目指す」という選択をする際に、経済的にどれくらいの負担があるのか、冷静に数字を見てみましょう。
学費の実額
まずは、大学へ行くのにかかる「学費」です。(※出典:文部科学省データによる目安。入学金と授業料4年間分の合計であり、生活費や一人暮らしの家賃は含まれません)
| 大学の種類 | 4年間の学費総額 |
|---|---|
| 国立大学 | 約242万円 |
| 公立大学(地元から通う場合) | 約236万円 |
| 公立大学(地元以外から通う場合) | 約251万円 |
| 私立大学(文系) | 約410万円 |
| 私立大学(理系) | 約487万円 |
奨学金のリアル——平均借入額は約345万円
大卒者のうち、半数近くの45.2%の人が奨学金を利用しています(※労働者福祉中央協議会2024年の調査より)。貸与型(返さなければならないタイプ)の平均額は、なんと344.9万円にものぼります。
奨学金の返済は、社会人になってからの大きな負担になります。貯金に影響があると答えた人は6割を超え、結婚や子育てをためらう原因になったと答えた人も約4割に達しています。
⚠️ 奨学金返済のリアル
毎月2万円以上の返済負担が、10年以上も続くことになります。この負担を背負って22歳から公務員生活をスタートさせるのか、それとも18歳から借金ゼロで軽やかにスタートするのか。この差は皆さんが思っている以上に大きいです。
2025年〜の多子世帯向け大学無償化は要チェック
一方で、とても大切なお知らせがあります。2025年度から、扶養する子どもが3人以上いる世帯を対象に、保護者の収入に関係なく大学の授業料などを減らしてくれる制度が見直されました。
私立大学なら最大約306万円(入学金と授業料)、国公立大学なら最大約244万円まで負担が軽くなります。もしあなたの家庭がこの制度の対象なら、「大学へ行くための経済的ハードル」は大きく下がります。
💡 3人以上の兄弟・姉妹がいる場合
この制度の対象になるかをぜひご家庭で話し合って確認してください。もし学費の心配がほぼなくなるのであれば、「大卒で目指す」という選択肢が非常に現実的でおすすめになります。
5. 試験の難易度とコスパ
高卒区分と大卒区分では、試験の難しさや、合格までに必要な勉強時間も大きく違います。「合格するためにどれくらいの努力(投資)が必要か」という視点で比べてみましょう。
勉強時間の差は歴然
| 試験区分 | 専門試験の有無 | 必要な勉強時間の目安 | 近年の倍率目安 |
|---|---|---|---|
| 大卒区分 | あり(法学・経済学など) | 約1,000〜1,500時間 | 自治体によるが比較的高め |
| 高卒区分 | なし(教養・作文・面接中心) | 約300〜500時間 | 3〜5倍程度に低下 |
大卒区分では、教養試験に加えて法律や経済関係の「専門試験」が課されることが多く、合格ラインに届くには約1,000〜1,500時間もの勉強が必要と言われています。
これに対して高卒区分は、専門試験がありません。数的処理(算数やパズルに近い科目)の対策を中心に、約300〜500時間の勉強で合格水準に到達できる人が多いです。
「勉強した時間に対する合格しやすさ(コスパ)」で見れば、高卒区分の方が圧倒的に高いと言えます。
高卒区分の倍率は低下傾向
かつては「10倍を超えるのも当たり前」と言われるほど狭き門だった高卒区分ですが、近年は多くの自治体で倍率が3〜5倍程度にまで下がっています。
少子化の影響や、民間企業が高卒での採用を積極的に行っていることが背景にあります。さらに、最近では従来型の難しい教養試験を廃止し、民間の就職活動でも使われる「SPI」などの適性検査を導入する自治体も増えてきました。
高卒で公務員を目指す環境は、かつてないほど有利になっていると言って間違いありません。
※高卒区分の具体的な試験科目や勉強の進め方は、別記事「高卒で地方公務員になるには?」で詳しく解説しています。
※高卒区分でも大卒区分でも「数的処理」の対策は最も重要です。まずは無料で問題を解いてみて、自分の今のレベルを確認することをおすすめします。
6. こんな人は高卒が向いている/大卒が向いている
結局のところ、自分はどちらを選ぶべきなのか。具体的な人物像を例に挙げて見ていきましょう。
高卒で公務員を目指すのが向いている人
大卒で公務員を目指すのが向いている人
避けたい「後悔パターン」
最後に、進路選択で失敗しやすい2つの「やってはいけないパターン」をご紹介します。
7. よくある質問
8. まとめ
ここまで「高卒」と「大卒」の公務員試験における違いをさまざまな角度から見てきました。内容を整理してみましょう。
- 高卒と大卒の年収差は年間10〜30万円程度。生涯賃金で見ると高卒が上回るケースもある
- 出世のしやすさは自治体規模で決まる。県庁・政令市は大卒有利だが、一般市町村はほぼ関係ない
- 大学進学には学費と、「働いていれば得られたはずの収入」で合わせると1,000万円以上のコストがかかる
- 多子世帯の無償化制度の対象なら、大卒を選ぶことの経済的な敷居が大きく下がる
- 高卒区分の試験は倍率低下・SPI導入で追い風。合格のハードルは下がっている
- 最も避けるべきは「目的のない大学進学」。進路は家族で冷静に話し合おう
高卒でも大卒でも、公務員という選択肢は安定した人生設計の基盤になります。
大切なのは、単なる「学歴」というステータスにこだわらず、「自分の志望先の自治体」と「家計の状況」に合った無理のない選択をすることです。この記事の判断手順を参考に、ぜひご家族で進路について話し合ってみてください。
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首席入庁時の新聞記事リンク ➡
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AIの活用で「面接対応力」を養ってほしいとの想いでサービス開発

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