公務員試験のSPI・教養のみ・従来型|試験形式の違いと選び方
同じ「市役所の試験」でも、形式によって勉強の負担も合否の決まり方もまったく違います。3つの形式の特徴を比較し、あなたに合った試験の選び方を解説します。
公務員試験の「3つの形式」を知る
地方公務員(特に市役所から政令指定都市まで)の筆記試験は、現在大きく3つの形式に分かれています。
- ①従来型(教養科目+専門科目)
- ②教養のみ型
- ③SPI型・新方式
この3つは「出題される科目が違う」だけではありません。「最終的な合否の決まり方(面接がどれくらい重視されるか)」「どんな人たちが受けるか」「必要な準備期間」がすべて違います。
最近はSPI型の試験を導入する市役所が急に増えており、同じ市役所でも複数の形式を併用するケースが多くなっています。この記事では、これら3つの形式それぞれの特徴をわかりやすく比較した上で、あなたに合った選び方を解説します。
※この記事は地方公務員(主に市役所〜政令指定都市)の試験形式を扱います。国家公務員を含めた職種ごとの難易度比較は公務員試験の難易度を徹底比較をご覧ください。
試験形式の特徴を比較する
| 項目 | 従来型(教養+専門) | 教養のみ型 | SPI型・新方式 |
|---|---|---|---|
| 筆記の科目 | 教養40問+専門40問 (計30科目以上) |
教養のみ40問 (Standard型 or Logical型など) |
SPI3・SCOA・Light型など |
| 学習期間の目安 | 800〜1,000時間 (1年程度) |
300〜500時間 (半年程度) |
民間企業の就活対策で対応可 (数十時間〜) |
| 面接の比重 | 中〜高 (筆記の点数が最終合否に残る) |
高い (筆記の配点が全体の20〜30%) |
非常に高い (リセット方式が多い) |
| 受験方法 | 指定会場で一斉に受験 | 指定会場で一斉に受験 | テストセンター方式が多い |
| 併願のしやすさ | 同じ形式の自治体同士で併願しやすい | 中程度 | 民間企業と並行して受けやすい |
| 向いている人 | 学力に自信がある公務員専願の人 | 専門なしで筆記の負担を抑えたい人 | 民間就活と並行して受けたい人・社会人 |
従来型(教養+専門)——筆記で差がつく王道ルート
教養試験(数的推理、判断推理、文章理解、歴史、理科など)と、専門試験(憲法、民法、経済学、政治学など)の二本立てで行われます。
合計の科目数は30科目以上になり、学習時間は800〜1,000時間も必要です。長期間の計画的な学習が欠かせません。都道府県庁や政令指定都市の「一般枠(A日程)」では、今もこの形式が主流です。
メリットは、筆記の配点が全体の40〜60%を占めるため、ここで高得点を取れば面接に「貯金」を持ち込める点です。国家一般職やほかの従来型自治体と併願しやすいのも強みです。
デメリットは、学習の負担が圧倒的に重いことです。もし全部落ちてしまった場合、専門知識が民間企業の就活に直接活きにくいというリスクもあります。
最近は多くの受験者がSPI型に流れているため、従来型を受ける人の絶対数が減少し、実質倍率が下がってきています。しっかり勉強を継続できる人にとっては、筆記で確実に差をつけられる有利な環境になっています。
従来型を選んだ方は、公務員試験の科目、何から? 優先順位・学習順序・捨て科目を完全解説や公務員試験の勉強はいつから? 開始時期×合格戦略を完全解説の記事も参考にしてください。
教養のみ型——専門なしで負担を抑えるバランス型
専門試験がなくなり、教養試験のみで筆記を行う形式です。専門科目の学習がゼロになるため準備期間を短縮できます。
一口に「教養試験」といっても、実はいくつかの種類があります。
- Standard型: 知能問題20問+知識問題20問(計40問・120分)。従来型と似ていますが、社会事情や時事の比重が高めです。
- Logical型: 知能問題27問+知識問題13問(計40問・120分)。論理的に考える問題に特化しており、物理や化学は出ません。民間の対策とも重なります。
- Light型: 社会への関心24問+言語的18問+論理的18問(計60問・75分)。レベルがやさしくコンパクトな形式です。社会人基礎試験と内容が非常によく似ています。
メリットは、大学の学業や仕事との両立がしやすい点です。特にLogical型などは民間企業と併願する人も受けやすいでしょう。
デメリットは、筆記で点数の差がつきにくいため、面接の重要性が相対的に高くなる点です。また、時事や知識分野は範囲がとても広く、がんばって勉強しても点数に結びつきにくい一面があります。
SPI型・新方式——民間就活の延長で受けられる
SPI3(言語・非言語・性格検査)やSCOA(言語・数理・論理・常識・英語)など、民間企業の採用で使われるテストをそのまま公務員試験に取り入れた形式です。
全国の専用テストセンターで自分に都合のよい日時を選んで受験できることが多く、遠方の受験者の交通費負担がなくなりました。民間企業の面接などとのスケジュールの調整も簡単です。
メリットは、公務員専用の難しい勉強がほぼいらないことです。民間就活と完全に並行でき、テストセンターの便利さも大きな魅力です。
デメリットは、筆記試験が事実上の「足切り(最低ラインの確認)」にしかならず、最終的な合否は面接で決まることです。さらに、民間就活で鍛えられた面接のうまいライバルたちと競う必要があります。
SPI型は「とりあえず申し込む」という人が多く、申込倍率が15〜30倍以上になることもあります。ですが、途中で受けるのをやめる人が大量に出るため、本気で市役所に入りたい人にとっての実質倍率はずっと低くなります。しかし、最終合否は完全に面接で決まるため、面接対策なしでの合格は非常に難しいです。
「筆記が軽い=受かりやすい」は間違い
ここまで読んで、「それなら勉強しなくてもいいSPI型が一番カンタンだな」と思った方もいるかもしれません。しかし、それは大きな誤解です。ここでは、筆記が軽い形式ほど面接が厳しくなる仕組みを説明します。
SPI型や教養のみ型を採用する自治体で広がっているのが、「リセット方式」という選考ルールです。
一次試験(筆記)で取った点数を二次試験には持ち越さず、面接の評価だけで最終的な合否を決める方式のこと。
形式ごとに、筆記と面接が合否に占める割合を整理してみましょう。
- 従来型: 筆記の配点が全体の40〜60%を占めます。筆記で高い点数を取れば、面接の点数が平均的でも最終合格できる「逃げ切り」が可能です。
- 教養のみ型: 筆記の配点が20〜30%程度に下がり、面接が70〜80%の決定権を持ちます。
- SPI型+リセット方式: 筆記は「基準を超えたかどうか」の確認のみで、最終合否は100%面接で決まります。
筆記の負担が軽い形式ほど、面接の比重が上がります。「勉強しなくていい=楽に受かる」のではなく、「勉強の代わりに面接で完璧に勝たなければならない」という構造になっています。SPI型の一次試験を通過する確率は30〜50%と高めですが、その後の面接で大量に落とされます。最終的な合格のしやすさでいえば、単純に「筆記が楽だから良い」とは言えません。
自分に合った試験形式の選び方
では、自分はどれを選べばいいのでしょうか。受験生を3つのタイプに分け、それぞれに向いている形式をお伝えします。
パターン① 学力に自信があり、堅実に公務員を目指す人
向いている形式:従来型
難易度の高い専門科目の勉強を長期間続けられるなら、筆記試験で圧倒的な差をつけられます。全体の倍率が下がっているため、「がんばった努力が最もストレートに報われる」形式です。国家一般職などとスケジュールを合わせて併願もしやすいため、もしものときのリスクを分散できます。
パターン② 勉強時間が限られる社会人・忙しい学生
向いている形式:教養のみ型 or Light型
専門科目は潔く捨てて、点数につながりやすい思考力や文章理解に時間をあてる戦略です。社会人で転職を考える方向けの枠では、このLight型や社会人基礎試験がよく使われます。筆記対策の時間を削った分だけ、これまでの職務経験などを面接でしっかりアピールする準備に全力を注ぎましょう。
パターン③ 民間企業が第一志望で、公務員も視野に入れたい人
向いている形式:SPI型
民間向けのSPI対策がそのまま使えますし、テストセンターなら日程調整もとても柔軟です。なにより、民間企業の面接で鍛えた自己PRの力を、そのまま公務員の面接でも活かすことができます。ただし、「なぜ民間ではなく公務員になりたいのか」「なぜウチの市役所なのか」といった、公務員のための志望動機は別でしっかりと準備する必要があります。
どの形式を選んだとしても、近年の公務員試験では面接の比重が上がり続けています。筆記の勉強だけでなく、志望動機や自己PRといった面接の準備も早いうちから始めることが、合格への何よりの近道です。
試験形式をめぐる近年のトレンド
最後に、こうした試験に関する最近の動きや、これからの動向を簡単に紹介します。
SPI型・新方式を導入する自治体が急増している
2023〜2025年にかけて、全国的に従来型からSPI型へ切り替える自治体が増えています。その理由は、子どもの数が減って受験生が少なくなっていることや、優秀な人をめぐって民間企業と競争が起きていること、テストセンターを使うことで受験が手軽になることなどがあげられます。
たとえば横浜市は2025年度から、民間の面接時期に合わせて春にSPI方式の「春チャレンジ選考試験」を新しく作りました。さらに、同じ自治体でも「春はSPIで幅広く集め、夏は従来型で専門知識を持つ人を集める」というように、複数の形式を時期をずらして実施するところも増えています。大都市の周辺や、地方の大きな街でもこの流れは進んでいます。
従来型には「揺り戻し」の兆しも
一方で、一部の自治体からは「SPI型で受かった人は、法律をきちんと読み解いたり、正確な文章を作成したりする力が少し足りない」といった、実際の仕事での不安の声も出始めています。
とはいえ、すべてが従来型に戻ってしまうとそもそも受ける人が集まらなくなるため、完全に元に戻ることは考えにくいでしょう。今後は「一次試験はSPIで広く人を集め、二次試験以降で実務に似た課題を出す」という合体型や、「広く活躍する人(SPI)」と「専門知識を使う人(従来型)」で採用コースを分けるケースが増えていくと予想されます。
これから受ける皆さんへお伝えしたいのは、「志望先の試験形式は毎年変わる可能性がある」ということです。「去年はSPIだったのに今年は教養試験に戻った」ということも実際にありえます。必ず最新の採用試験案内を自分の目で確認するようにしてください。
よくある質問(FAQ)
SPI型と従来型、どちらが受かりやすいですか?
志望先の試験形式はどこで確認できますか?
従来型とSPI型を両方受けることはできますか?
SCOAとSPIの違いは何ですか?
社会人経験者枠はどの形式が多いですか?
まとめ
- 地方公務員の筆記試験は「従来型」「教養のみ型」「SPI型・新方式」の3つに大きく分けられる
- 筆記の負担が軽い形式ほど面接の比重が上がります。「楽に受かる」形式はない
- 従来型は環境として「勉強した人が報われやすく」なっている
- SPI型は民間と併願しやすいが、面接で勝ち抜く力が必要になる
- 志望先の試験形式は毎年変わる可能性がある。必ず最新の受験案内を確認すること
試験の形式や違いを理解したら、次は志望先の自治体についてより具体的に調べてみましょう。
職種別の面接対策
県庁に首席で入庁した実績者が、
サービスを開発しました。
サービス開発者:
青島 一平
AOSHIMA Ippei
AI公務員予備校 運営代表
県庁に首席入庁
入庁式にて、約400人の新入職員を代表して辞令を受領(以下の新聞記事参照)。
試験結果と資質を評価され、当時の中枢部署(知事直轄組織)に配属されました。
首席入庁時の新聞記事リンク ➡
働きながら博士号を取得(神戸大学大学院人間発達環境学研究科)
退職後、大手スキルシェアサイトで多くの受験生を支援
AIの活用で「面接対応力」を養ってほしいとの想いでサービス開発

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自治体別の志望動機・自治体研究はこちら
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