面接頻出質問 個別対策シリーズ
非正規から正規公務員へ。
面接で問われることと
合格する答え方
派遣・契約社員・会計年度任用職員——非正規の経験は、面接で「武器」にも「弱点」にもなる。面接官の本音と、状況別の回答例・NG例をすべて解説します。
面接官はなぜこの質問をするのか
非正規雇用から正規公務員を目指す面接では、「なぜ正規を目指すのですか」「非正規の経験をどう活かしますか」といった質問が必ず飛んできます。面接官がこの質問で見極めようとしているのは、大きく分けて3つです。
① 志望動機が「待遇改善」ではなく「貢献意欲」にあるか
面接官が最も警戒しているのは、「給料を上げたい」「ボーナスが欲しい」「安定したい」という処遇改善が本音の受験者です。これらは「働き続けるための条件」であって、正規職員を目指す「動機」としては不十分です。面接官は、非正規の経験を通じて「もっと深く関わりたい」「制度そのものを変えたい」という公共への貢献意欲が芽生えた人を探しています。
② 「作業者」から「責任者」への転換ができるか
非正規職員は、多くの場合「決められた業務を正確にこなす」ことが求められます。一方、正規職員には判断・決裁・後輩指導・組織運営といった「責任を伴う仕事」が加わります。面接官は「この人は、自分で考え、組織全体の成果に責任を持てる人間か」を見ています。
③ 業務量の増加やプレッシャーに耐えられるか
正規になると、理不尽なクレーム対応、議会対応、予算折衝、繁忙期の長時間勤務など、非正規時代にはなかった負荷がかかります。面接官は「今の環境の延長線上」で正規を考えていないか、精神的・体力的な覚悟があるかを確かめています。
💡 面接官の本音を一言でまとめると
「この人は、自分が救われたいから正規を目指すのか、それとも組織を救える人材になりたくて正規を目指すのか」——面接官が聞きたいのは、この一点です。すべての回答を「自分が組織にどう貢献できるか」を軸に組み立ててください。
回答の「型」── 3ステップ構成テンプレート
「なぜ非正規から正規を目指すのか」という質問に対し、回答を組み立てる際の型を紹介します。この3ステップに沿って自分の経験を当てはめれば、説得力のある回答が完成します。
📝 回答構成テンプレート
結論(志望動機の核心)
「正規職員として、○○に取り組みたいです」と結論から入る。非正規経験で芽生えた「もっとこうしたい」という思いを一言で伝える。
根拠(非正規経験から得た気づき)
非正規として働く中で感じた「限界」や「もどかしさ」を具体的なエピソードで語る。「作業はできるが、制度を変えることはできなかった」という経験が、正規を目指す理由に直結することを示す。
展望(正規になったら何をするか)
正規職員として取り組みたいこと、活かせるスキル、目指す姿を具体的に語る。非正規の経験があるからこそ見えている「現場の課題」を、正規の立場で解決したいという展望で締める。
📊 この型が有効な理由
面接官は「結論が先に聞きたい」のが本音です。いきなり経歴の説明から入ると、何が言いたいのかわからないまま時間が過ぎます。結論→根拠→展望の順番は、面接だけでなくES(エントリーシート)の回答にも共通する基本構成です。
状況別の回答例文(4パターン)
非正規から正規を目指す受験者といっても、「会計年度任用職員なのか」「民間の派遣社員なのか」「同じ自治体を受けるのか」などで回答の方向性は大きく変わります。自分に近い状況の例文を参考にしてください。
会計年度 → 同じ自治体
パターン①:会計年度任用職員が同じ自治体の正規を受ける場合
「なぜ正規職員を目指すのですか」への回答例:
市民課の窓口で3年間、転入届や各種届出の受付を担当する中で、高齢の方が複数の窓口を行き来される姿を何度も目にしてきました。「ワンストップで済ませられる仕組みがあれば」と感じても、非正規の立場では業務フローの改善を提案するところまでしか関われませんでした。正規職員として、窓口業務の改善や他部署との連携体制の構築に、企画段階から携わりたいと考えています。3年間の窓口経験で得た市民目線を活かして、どなたにとっても利用しやすい行政サービスの実現に貢献したいです。
💡 このパターンのポイント
同じ自治体を受ける場合、日頃の勤務態度はすでに人事に伝わっています。「中にいるからこそ見えた課題」と「それを正規の立場で解決したい」というストーリーが王道です。ただし内部事情に詳しいからといって、現職場への不満や批判は絶対に避けてください。
会計年度 → 別の自治体
パターン②:会計年度任用職員が別の自治体の正規を受ける場合
「今の自治体ではなく、なぜ当市を志望するのですか」への回答例:
現在、A市の福祉課で会計年度任用職員として生活保護のケースワーク補助を行っています。支援の現場で感じたのは、生活困窮の段階に至る前の「予防的支援」の重要性です。御市が力を入れている重層的支援体制整備事業は、まさにその予防的支援を体系化した取り組みだと理解しており、自分の経験が最も活かせる場だと感じています。A市での経験で培った相談対応力と、制度の運用を現場から見てきた視点を活かして、御市の地域福祉の推進に貢献したいと考えています。
⚠ 「なぜ今の自治体ではないのか」は最も攻撃されやすい質問
今の職場への不満が理由だと見なされると、ほぼ不合格です。ポイントは「現職への不満」ではなく「志望先の施策への共感」で語ること。「A市が悪いから出たい」ではなく、「御市の○○に惹かれた」という方向に持っていきましょう。別の自治体で働いた経験があるからこそ持てる「比較の視点」は、むしろ強みになります。
民間非正規 → 公務員
パターン③:民間の派遣・契約社員から公務員を目指す場合
「なぜ民間企業ではなく公務員を目指すのですか」への回答例:
IT企業で3年間、派遣社員としてシステム運用の仕事をしてきました。その中で、自治体向けシステムの導入支援を担当したことがきっかけで、行政のデジタル化に強い関心を持つようになりました。民間では利益を最優先にせざるを得ない場面もありましたが、行政であれば「すべての市民に届くサービス」を追求できると考えています。IT企業で培ったシステム運用の知識やトラブル対応のスキルを、住民サービスのデジタル化推進に活かしたいです。
💡 民間経験者が押さえるべきポイント
民間で培った「コスト意識」「スピード感」「顧客対応力」は、今の公務員組織が最も求めているスキルです。ただし、これを「民間のほうが優れている」という上から目線で語ると逆効果。「民間で学んだことを、公共の場で活かしたい」という謙虚さと敬意を忘れないでください。また「安定しているから公務員」という本音が少しでも見えると不合格リスクが一気に高まります。
30代以上・社会人経験者枠
パターン④:30代以上で社会人経験者枠を受験する場合
「非正規の経験をどう活かせますか」への回答例:
10年間、福祉分野で契約社員や会計年度任用職員として働いてきました。この間、障がい者支援施設、地域包括支援センター、市役所の福祉課と、異なる立場で福祉に携わったことで、制度の利用者側と提供者側の両方の視点を持っています。特に、制度の狭間で支援が届かない方々に何度も出会い、既存の制度だけでは解決できない課題があることを実感しました。これまでの経験を活かして、制度の企画や改善を、現場の声を反映させながら進めていきたいと考えています。
📊 30代以上の受験者に求められること
20代がポテンシャルと柔軟性で勝負するのに対し、30代以上には「実績の再現性」と「即戦力性」が求められます。複数の職場で積んだ経験を「点」ではなく「線」として語り、自分にしかない専門的な視点を示しましょう。数字や具体的な成果があれば積極的に盛り込んでください。
NG回答例と失敗する理由
非正規経験者が面接で陥りやすい失敗パターンを3つ紹介します。自分の回答が以下に該当していないか、必ずチェックしてください。
NG①:「安定」「待遇」が動機の中心になっている
「非正規のままだと毎年契約更新があり不安です。正規職員になれば安定して長く働けるので、志望しました。福利厚生が充実している点にも魅力を感じています。」
⚠ なぜNGか
安定や福利厚生は「自分にとってのメリット」であり、「組織や市民にとっての価値」ではありません。面接官は「この人は安定を手に入れたら、それ以上の成長や努力をしなくなるのでは」と判断します。本音は安定であっても、面接で語る動機は「貢献」に置き換えてください。
NG②:現職場への不満・愚痴を口にする
「今の職場では非正規に対する扱いがひどく、どれだけ頑張っても正当に評価されません。正規職員と同じ仕事をしているのに給料が全然違うので、ここではもう限界です。」
⚠ なぜNGか
不満や愚痴は「この人は組織の欠点ばかりに目を向け、他責にする人」という印象を与えます。どんなに事実であっても、面接で口にした瞬間にマイナス評価です。退職理由は「不満の解消」ではなく「より高い目標への挑戦」として語り直す必要があります。
NG③:「作業内容の報告」に終始する
「現在は窓口で住民票の交付や転入届の受付を行っています。毎日多くの市民の方に対応しており、丁寧な接客を心がけています。」
⚠ なぜNGか
マニュアルに沿った作業の説明は「誰でもできること」の証明に過ぎません。面接官が知りたいのは、「その業務の中であなたが独自に工夫したことは何か」「なぜその工夫をしたのか」という思考のプロセスです。「丁寧に対応した」ではなく「高齢者が迷わないよう記入例の掲示方法を改善し、問い合わせが3割減った」のような、自分の判断と行動が見える話し方をしましょう。
深掘り質問への備え
最初の回答がうまくいっても、面接官はそこからさらに深掘りしてきます。以下の質問は非正規経験者に対して高確率で聞かれるものです。あらかじめ準備しておきましょう。
Q.「非正規のままではダメなのですか?」
この質問は「本気度」のリトマス試験紙です。
回答のポイント:「ダメではないが、正規だからこそできることがある」という方向で答えます。具体的には「非正規の立場では制度の運用(実務)には関われても、制度そのものの改善や長期的な計画策定には関与できない。市民の課題を根本から解決するには、より広い裁量と責任が必要だと感じた」というように、非正規と正規の「できることの違い」を自分の経験に基づいて語ってください。
NGワード:「給料が上がらないので」「契約が不安定だから」→ 処遇の話は絶対に出さない。
Q.「正規になったら今の何倍もの仕事量になりますが、覚悟はありますか?」
特にパートタイムの会計年度任用職員に対して投げかけられます。
回答のポイント:「体力には自信がある」だけでは不十分です。「現在の業務でも繁忙期には優先順位を工夫して自発的に業務範囲を広げてきた。仕事量が増えることはそれだけ地域に貢献できる機会が増えることだと捉えている。効率化も常に意識していきたい」というように、すでに行動で示してきた実績と、前向きな姿勢の両方を伝えてください。
Q.「非正規の経験で最も大変だったことは何ですか?」
苦労話を聞きたいわけではなく、「回復力(レジリエンス)」を見ています。
回答のポイント:大変だった事実を簡潔に述べたうえで、「それをどう乗り越えたか」にフォーカスしてください。「人間関係が大変だった」「立場が不安定で辛かった」で終わると、面接官は「で、どうしたの?」と思います。「法改正で混乱が生じた際、自ら勉強会を企画して部署全体の対応力を高めた」のように、主体的に行動した結果を語りましょう。
Q.「正規職員になったら具体的に何がしたいですか?」
志望動機の「本気度」を最終確認する質問です。
回答のポイント:漠然と「市民のために頑張りたい」ではなく、志望先の具体的な施策や課題に触れながら「この分野で○○に取り組みたい」と言えるかが勝負です。事前に志望先の総合計画や重点施策を調べ、自分の経験と結びつけて語れるように準備しましょう。
Q.「なぜ何年も非正規で働いていたのですか?」
この質問にはネガティブなニュアンスが含まれていますが、焦らないでください。
回答のポイント:非正規期間を「受動的な停滞」ではなく「能動的な準備期間」として位置づけます。「当初は○○のスキルが不足していたが、実務を通じて知見を深めた。正規職員の責務を果たせる自信がついたからこそ、このタイミングで受験を決意した」というように、成長のストーリーに変換してください。
回答をブラッシュアップする3つのコツ
コツ①:「作業内容」を「思考」に変換する
面接で話すエピソードは「何をしたか」ではなく「なぜそうしたか」「どう工夫したか」を中心に再構成してください。
変換前:「窓口で市民対応をしていました」
変換後:「窓口で対応する中で、高齢者の来庁負担を減らすために申請書類の記入例を改善し、口頭での説明時間を短縮する工夫をしました」
コツ②:志望先の施策を最低3つ調べておく
「なぜこの自治体か」「正規になったら何がしたいか」に答えるには、志望先の情報が不可欠です。自治体の総合計画、施政方針、直近のプレスリリースを確認し、「自分の経験」と「志望先の課題」が結びつくポイントを見つけましょう。どの自治体にも当てはまる話しか言えないと「うちじゃなくてもいいのでは」と思われます。
コツ③:「非正規だからこそ」のフレーズを武器にする
非正規経験は「回り道」ではなく「現場密着の貴重な経験」です。「非正規として現場で市民の声を直接聞いてきたからこそ、制度の不備にも気づけた」「複数の部署を経験したからこそ、組織横断的な視点がある」——こうした言い回しで、新卒者にはない強みを堂々とアピールしましょう。コンプレックスではなく、差別化ポイントとして活用してください。
よくある質問(FAQ)
まとめ
この記事のポイント
面接官が見ているのは「安定が欲しいのか、貢献したいのか」。すべての回答を「組織への貢献」を軸に組み立てる。
回答は「結論→根拠(非正規経験の気づき)→展望(正規で何をするか)」の3ステップで構成する。
「安定志向の露出」「現職への不満」「作業報告に終始」の3つは典型的なNG。事前に自分の回答をチェックする。
深掘り質問(「非正規のままでいいのでは?」等)への備えが合否を分ける。想定して回答を準備しておく。
非正規経験は「回り道」ではなく「現場を知る武器」。コンプレックスではなく差別化ポイントとして堂々と語る。
非正規で働いてきた時間は、決して無駄ではありません。市民の声を直接聞き、制度の不備を肌で感じてきた経験は、新卒者にはない「行政の解像度」そのものです。面接では、その解像度の高さを「不満」ではなく「改善の種」として伝えてください。あなたの経験と覚悟が伝われば、道は必ず拓けます。
📖 あわせて読みたい
前職を辞めて公務員を目指す理由|面接での伝え方【社会人枠・転職】
正規からの転職者向け。退職理由の伝え方はこちら。
併願状況を正直に答えるべきか|公務員面接での伝え方
複数受験している場合の答え方はこちら。
地元以外の自治体を志望する理由|面接での伝え方
他の自治体を受ける場合の志望動機はこちら。
なぜ民間ではなく公務員なのか|面接での答え方
公務員を選ぶ理由の伝え方はこちら。
職種別の面接対策
県庁に首席で入庁した実績者が、
サービスを開発しました。
サービス開発者:
青島 一平
AOSHIMA Ippei
AI公務員予備校 運営代表
県庁に首席入庁
入庁式にて、約400人の新入職員を代表して辞令を受領(以下の新聞記事参照)。
試験結果と資質を評価され、当時の中枢部署(知事直轄組織)に配属されました。
首席入庁時の新聞記事リンク ➡
働きながら博士号を取得(神戸大学大学院人間発達環境学研究科)
退職後、大手スキルシェアサイトで多くの受験生を支援
AIの活用で「面接対応力」を養ってほしいとの想いでサービス開発

県庁に首席で入庁した実績者が、
サービスを開発しました。
県庁に首席で
入庁した実績者が、
サービスを開発。
サービス開発者:
青島 一平
AOSHIMA Ippei
AI公務員予備校
運営代表

県庁に首席入庁
当時の中枢部署(知事直轄組織)などで5年勤務
首席入庁時の
新聞記事
リンク ➡




