面接頻出質問の完全対策
公務員試験の面接で
「併願状況」を聞かれたら?
正直に答えるべきかの判断基準と回答例
「他にどこを受けていますか?」——この質問で手が震えた受験者は少なくありません。正直に言えば志望度を疑われ、嘘をつけば信頼を失う。この記事では、面接官の本当の意図を解き明かし、あなたの状況に合った回答の「型」と例文を紹介します。
結論:「基本は正直に。ただし伝え方に技術がいる」
最初に結論をお伝えします。併願状況は原則として正直に答えてください。ただし、「全てを包み隠さず話す」のと「正直に答える」のは別物です。
✅ 併願状況を聞かれたときの3原則
原則①:嘘はつかない。嘘は深掘り質問で破綻します。面接官はプロです。
原則②:全部言わなくていい。志望動機と一貫性のある併願先を3〜4つに絞って伝えれば十分です。
原則③:「ここが第一志望」の理由を必ず添える。併願先を伝えた後、なぜこの組織が最も自分に合っているかを具体的に語ることが最重要です。
この3つの原則を守れば、併願状況の質問はむしろ「志望度の高さを証明するチャンス」に変わります。以下のセクションで、面接官の意図、回答の型、状況別の例文を順に解説していきます。
面接官が併願状況を聞く4つの理由
面接官は「併願しているかどうか」を問い詰めたいのではありません。公務員試験で併願するのは当たり前のことであり、面接官もそれを十分に承知しています。この質問の裏には、もっと本質的な4つの狙いがあります。
理由① 内定を出したら本当に来てくれるか(辞退リスクの確認)
行政機関にとって、合格者の辞退は深刻な問題です。採用計画が狂い、追加合格の手配や翌年度の調整が必要になります。面接官は「この人に合格を出して、本当にうちに来てくれるのか?」を一番知りたいのです。だからこそ、併願先を聞いた上で「ここが第一志望です」と言い切れるかどうかが勝負になります。
理由② 就職活動の「軸」に一貫性があるか
併願先のリストは、受験者の価値観をそのまま映し出します。「地域福祉に貢献したい」と言いながら国税専門官を受けていたり、「住民に近い仕事がしたい」と言いながら国家総合職を受けていたりすると、志望動機全体の信憑性が揺らぎます。面接官は、併願先の顔ぶれに共通する「軸」があるかを見ています。
理由③ 「本音と建前」を適切に使い分けられるか
公務員の仕事は利害調整の連続です。住民対応でも、議会対応でも、「言っていいこと」と「言い方を工夫すべきこと」の区別が求められます。併願状況は、受験者にとって答えにくい質問です。この場面で相手への敬意を保ちながら誠実に回答できるかどうかは、実務で求められるコミュニケーション能力の代理指標として見られています。
理由④ リスク管理の意識があるか
意外に思われるかもしれませんが、「ここしか受けていません」は必ずしもプラス評価になりません。不合格になる可能性もある試験において代替案を用意していないのは、「計画性がない」と映ることがあります。社会人として自分の人生に責任を持ち、戦略的に就職活動を進めているかどうかも、面接官は見ています。
💡 つまり、面接官が知りたいのは…
「併願しているかどうか」ではなく、「併願先と比較した上で、なぜうちが第一志望なのか」を論理的に説明できるかです。この視点を持っているだけで、回答の質は大きく変わります。
回答の構成テンプレート(型)
併願状況を伝える際は、以下の4ステップで構成するとバランスの良い回答になります。どんな状況の受験者でもこの「型」に当てはめれば、論理的で好印象な回答が作れます。
📝 回答の4ステップ
併願先を端的に伝える
「○○県と○○市、国家一般職を受験しています」と、シンプルに事実を述べます。3〜4つに絞るのがベスト。全部言う必要はありません。
就職活動の「軸」を示す
「住民の生活を直接支える行政に携わりたいという思いで、○○の分野に関われる組織を中心に受験しています」のように、併願先に共通するテーマを一言で伝えます。
「ここが第一志望」と明言する
迷いなく、はっきりと言い切ります。ここで「考え中です」「まだ決めていません」は絶対にNG。
第一志望の理由を具体的に述べる
「併願先にはない○○という魅力がある」「自分の○○という経験が最も活かせる」など、比較した上で選んだ理由を伝えます。ここが回答の核心です。
⚠ よくある失敗:ステップ1で止まってしまう
「○○県と○○市を受けています。以上です。」で終わると、面接官は「で、うちの志望度は?」と聞き返さざるを得ません。併願先を伝えた後、必ず自分から「ここが第一志望である理由」まで話しきるのがポイントです。面接官に聞かれる前に自分から語ることで、準備の周到さと志望度の高さが伝わります。
状況別の回答例文【4パターン】
受験者の背景によって、最適な回答は異なります。自分に近いパターンを選び、自分の言葉に置き換えてください。
公務員のみ併願(県庁+市役所+国家一般職 等)
最も多いケースです。行政の中でも「なぜこの規模・この組織か」を伝えるのがポイントです。
他にどちらを受験されていますか?
はい。○○県と国家一般職を受験しています。地域の暮らしを行政の立場から支えたいという思いがあり、住民生活に関わる組織を中心に受験しました。その中で○○市を第一志望としているのは、市の窓口業務や地域づくりの現場を通じて、住民の方と直接顔を合わせながら仕事ができる点に最も魅力を感じているからです。大学時代に○○地区でボランティアをした経験から、住民の声を直接聞いて形にする仕事がしたいという思いが強くなり、それが最も実現できるのは市役所だと考えています。
💡 このパターンのコツ
「国家は広域的、県は県全体、市は住民に最も近い」という役割の違いを踏まえた上で、自分の経験や価値観が「市」と結びつく理由を具体的に語りましょう。県庁の面接なら「県全体を見渡す広い視点」、国家なら「制度設計を通じた全国的なインパクト」など、受験先に応じて力点を変えてください。
民間企業も併願している場合
民間の併願を隠すかどうかは迷うところですが、志望動機と一貫性があるなら隠す必要はありません。一貫性が薄い場合は、無理に言わなくても構いません。
民間企業は受けていますか?
はい。IT系の企業を1社受けています。将来、行政のデジタル化を推進する仕事に携わりたいと考えており、民間のスピード感や最新の技術に触れることも自分の成長につながると思い、受験しました。ただ、私が最終的にやりたいのは、利益のためではなく住民全体の利便性を向上させるためにデジタル技術を活用することです。その思いに最も合致しているのが○○市のDX推進の取り組みであり、こちらが第一志望です。
📌 民間併願を伝えるかの判断基準
伝えてOK:志望動機と関連する業界の場合(IT×行政DX、福祉系企業×福祉行政 等)
無理に言わなくてよい:全く関連のない業界の場合。聞かれなければ自分から言う必要はありません。ただし「民間は受けていますか?」と直接聞かれた場合は「受けています」と正直に答えた上で、公務員を第一志望とする理由を明確に伝えましょう。
地元以外の自治体で聞かれた場合
地元の自治体も併願している場合、「結局地元に帰るのでは?」という懸念を払拭する必要があります。
地元の○○市も受けているようですが、両方受かったらどうしますか?
迷わずこちらを選びます。地元の市役所を受験したのは、行政全般に関心があったからですが、就職活動を進める中で御市の○○事業について調べ、ここで働きたいという思いが固まりました。特に、御市が進めている○○の取り組みは全国的にも先進的で、この分野で自分の力を発揮できる環境は他にないと考えています。地元への愛着はもちろんありますが、自分がやりたい仕事ができる場所で働くことの方が、長い目で見て納得のいくキャリアになると考えています。
※ 地元以外の自治体を志望する理由については、「地元以外の自治体を志望する理由」の記事でさらに詳しく解説しています。
社会人経験者(転職組)の場合
社会人枠の場合、「なぜ今の仕事を辞めてまで」という深掘りとセットで聞かれることが多いです。現職の経験と志望先を結びつけましょう。
現在の職場以外で、他に受験しているところはありますか?
はい。○○県の社会人枠も受験しています。現職では法人営業を通じて中小企業の経営課題に向き合ってきましたが、その中で行政の支援制度の重要性を強く感じるようになりました。民間の立場では支援できる範囲に限界があり、行政の側から中小企業を支えたいと考えて転職を決意しました。中でも○○市は、商工振興施策に力を入れており、私の営業経験と中小企業への理解を最も直接的に活かせると考え、第一志望としています。
やってはいけないNG回答3選
併願状況で評価を大きく落とすのは、次の3つのパターンです。どれも「やってしまいそう」なものばかりなので、事前に知っておくことが重要です。
NG① 「ここしか受けていません」という嘘
「御市だけを受験しています。他は一切受けていません。」
面接官は毎年何十人もの受験者を見ています。公務員試験で1カ所しか受けないのは現実的ではないことを知っているため、この回答はかえって不信感を招きます。さらに「もし不合格だったらどうするのですか?」と深掘りされたとき、嘘を維持するのが困難になります。一度信頼を失うと、他の回答まで疑われてしまうリスクがあります。
NG② 志望度の低さが透けてしまう回答
「第一志望は○○県庁なのですが、御市も受けさせていただいています。」
正直なのは良いことですが、これでは「うちは滑り止めです」と言っているのと同じです。面接官の立場になって考えてみてください。合格を出しても辞退される可能性が高い受験者に、貴重な枠を使いたいとは思いません。たとえ本心で第一志望でなかったとしても、面接の場では「ここで働きたい」という意思を示す必要があります。
NG③ 併願先に一貫性がなく、説明もできない
「○○市と、消防官と、裁判所事務官と、民間のメーカーを受けています。」
行政職、公安職、司法系、民間——これだけバラバラだと、「とにかくどこかに就職できればいい」という印象を与えてしまいます。仮に実際に多方面を受けていたとしても、面接では志望動機と一貫性のある3〜4つに絞って伝えましょう。残りは聞かれない限り、自分から言う必要はありません。
⚠ 3つのNGに共通する失敗の本質
いずれも「面接官の視点」を考えていないことが原因です。面接官は「この人に合格を出して大丈夫か?」を判断しています。嘘は信頼を壊し、滑り止め発言は辞退リスクを示し、一貫性のなさは志望動機の根拠を崩します。常に「面接官がこの回答を聞いてどう感じるか」を想像してください。
深掘り質問への備え
併願状況を答えた後、面接官はほぼ確実に「もう一段深い質問」を投げてきます。ここで詰まると、せっかくの回答が台無しになります。以下の5つは特に頻出なので、必ず準備しておきましょう。
❶「その中で、第一志望はどこですか?」
回答の方向性:迷いなく「こちらです」と即答してください。0.5秒の沈黙が命取りです。その後、「なぜ第一志望なのか」の理由を、併願先との比較を交えて具体的に述べます。
例:「こちらが第一志望です。○○県にも魅力を感じていますが、住民の方と直接やり取りしながら施策を形にできるのは基礎自治体である御市ならではだと考えています。」
❷「両方受かったらどうしますか?」
回答の方向性:「迷わずこちらに参ります」一択です。「考えさせてください」「家族と相談して決めます」は、面接官からすると「辞退リスクあり」のシグナルになります。
例:「迷うことなく御市を選びます。先ほど申し上げた通り、私が最も実現したい○○に取り組める環境はここだけだと確信しています。」
❸「本当にうちが第一志望?(圧迫気味に)」
回答の方向性:動揺せず、穏やかな表情で切り返しましょう。圧迫質問は回答の中身よりも「追い詰められたときの態度」を見ています。
例:「はい、第一志望です。そのようにご心配されるのも無理はないと思いますが、私が御市を選んだ理由は○○の経験に基づいており、他の受験先と比較しても揺らぐことはありません。」
❹「併願先と当市の違いは何だと思いますか?」
回答の方向性:併願先を否定する必要はありません。「○○にはこういう魅力がある。でも御市にはそれ以上に○○がある」と、比較した上で受験先を選んだ論理を示します。
例:「県庁は広域的な政策立案に携われる魅力がありますが、御市は住民との距離が近く、施策の効果を肌で感じながら働ける点が大きな違いだと考えています。私は○○の経験から、顔の見える関係の中で仕事をすることにやりがいを感じるため、御市がより合っていると判断しました。」
❺「民間は受けていないのですか?」
回答の方向性:受けていない場合は、「なぜ公務員だけなのか」を前向きに説明します。「安定しているから」は避け、公共の仕事でしか実現できないことに触れましょう。
例:「民間は受けていません。私は○○の経験を通じて、特定の顧客ではなく地域全体のために働きたいという思いが固まりました。利益を目的とせず、住民全体の幸福を追求できるのは行政だけだと考えたため、公務員に絞って受験しています。」
面接カードの「併願状況」欄の書き方
多くの試験では面接の前に「面接カード」や「面接シート」を提出します。併願状況の記入欄がある場合、ここに書いた内容が面接での質問の出発点になります。
📝 面接カード記入のポイント
① 正式名称で書く:「国般」「特別区」などの略称は避け、「国家公務員一般職」「特別区職員Ⅰ類」と正式名称で記入しましょう。
② 進捗状況も書く:「一次試験合格」「最終面接待ち」「結果待ち」など、状況がわかる形で記載します。
③ 3〜4つに絞る:面接で一貫性を説明しきれる範囲に絞ります。10カ所も書くと「手当たり次第」の印象を与えかねません。
④ 面接で話す内容と矛盾しないように:面接カードに書いた内容と口頭で伝える内容が食い違うと、信頼性が大きく損なわれます。面接カードに記入した後は、その内容に基づいて面接の回答を準備しましょう。
💡 面接カードは「面接官への質問の誘導」
面接カードに書く併願先は、面接で聞かれたときに自分が得意な話に展開しやすいものを選びましょう。記載する併願先に志望動機との一貫性があれば、面接官から「なぜこの組み合わせなのか?」と聞かれたときに、自然に志望動機を深掘りできるチャンスになります。
よくある質問
まとめ
この記事のポイント
併願状況は原則として正直に答える。嘘は深掘りで破綻し、信頼を失うリスクが大きい。
ただし全て言う必要はない。志望動機と一貫性のある3〜4つに絞って伝えれば十分。
面接官が知りたいのは「併願の有無」ではなく「なぜここが第一志望か」の理由。
回答の型は「①併願先を端的に→②軸を示す→③第一志望と明言→④理由を具体的に」の4ステップ。
深掘り質問への備えが不可欠。「両方受かったら?」「第一志望はどこ?」は必ず聞かれると思って準備を。
面接カードに書く併願先は、面接で一貫性を語りやすいものを戦略的に選ぶ。
併願状況の質問は、答えにくいからこそ差がつきます。多くの受験者がこの質問で曖昧な回答をしてしまう中、「併願先と比較した上で、ここを選んだ」と自信を持って語れれば、面接官に強い印象を残せます。この記事の構成テンプレートを使って、自分の経験に基づいた回答を事前に作り込んでおきましょう。
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